医療では、患者を心から慈しみ、彼らが安心して医療サービスを受けられるよう笑顔、挨拶、礼節、すなわち接遇は不可欠です。
しかし「接遇とは、接して遇すること、すなわち患者のニーズに応えること」をいうのであり、いくらよい笑顔をしても適切ではない医療を提供するのであれば、目的を達成することはできません。
ある病院で「笑顔で丁寧に対応してくれる看護師さんの注射が下手で痛かった。教育をしっかりして欲しい」とのクレームや、「病棟で、とても愛想のよい看護師さんについてもらい安心していましたが、あるときみると点滴に違う人の名前が書いてありました。気を付けてもらいたい」というアクシデントがありました。
従来の接遇の意味が失われた事例です。
医療従事者は、挨拶、笑顔、礼節をもて患者に対応するのは当然のこととして、まずは基本的患者対応を行う必要があります。
そもそも、高い質をもつ医療従事者は、自らに誇りをもち、自信をもって患者に接することができます。自信が患者への優しさにつながり、思いの表れ(発露)として自然に笑顔、挨拶、礼節が提供される。これが本当の医療の接遇です。
ある病院で、「〇〇さんとは、特に言葉は交わしませんでしたが、いつもてきぱきと処置をしていただき、とても安心して入院生活を送れました。ありがとうございました」というアンケートがありましたが、本来の接遇の範となるものです。