得意なことから比較優位をつくる

職員をモチベートするための話の一つです。院長は、折に触れて組織の進む方向と個人目標合致を意図したマネジメントを行うとともに、職員に以下を説明する必要があります。

『気の乗らないことであっても、必要に応じてやらなければならないことがあります。

「人の時間は限られているので、仕事は取捨選択しろ。いわんや気の乗らないことはやる必要はない。できませんと断るのは容易であり、言われたことをすべて引き受けない。そのことにより人はあなたのことをダメな奴と思わない。断り続けていれば信のある人と思われるだろう」といった暴論を吐く人もいますがそれはありえません。

社会人として組織に属しているとき、相手から求められた依頼をすべて受容れて処理していかなければ「仕事ができない奴」という烙印を押され、誰からも相手にされなくなります。

どんなに好きではない、やりたくない仕事でもその目的を理解したうえで、よほどのことがない限り仕事を引き受け、緊急度や重要度により第三者を使うことも含めそれらをどのように捌いていくのかを考え、正確かつ迅速に処理していく能力をもつことが大切だと考えています。

プレッシャーの中で経験を積み重ね、失敗しながらも工夫し続けることで間違いなく力は付きます。始めは大変でも知らず知らずのうちに何なく処理できるようになっているのです。比較優位性のある得意分野もできてきます。

結果を出している間に「彼に依頼すればうまく処理してくれる」という信用が高い評価となり、信頼を得て徐々に重要な仕事も任せられるようになります。依頼される仕事の質は上がり、誰でもできる仕事の依頼はこなくなります。

仕事を依頼する側も仕事の重要度や困難性を理解したうえで、それを処理できそうな人に依頼をしてくるからです。

実力が分からないときには平気で「この書類ファイルしておいて」とか「コピーお願いね」と依頼していたのに、自分以外の誰かもその人を頼りにし忙しそうな状況がみえると、その人にしか出来ないどうしても依頼したい仕事に限り依頼するようになるのです。

誰かの役に立つためどんな仕事も引き受け、バリバリ処理できる能力やさらに上司や仲間、そして部下への仕事の振り方を身に着ければ、最も得をするのは自分だということに気づかなければなりません。

ただ、そのような人から好かれる自分になるためには、緊急度や重要度による仕事の湯銭順位づけのみならず、期日や質について依頼者との間での調整や再依頼するときのコントロールをうまく行うといった能力、そして段取りや時間の使い方、人間力やコミュニケーション力を身に着けなければなりません。

例えば、依頼者とネゴしたいくつもの案件を一定期間ですべて処理しなければならないとき、緊急度の高いものから手を付けるとして、すべての案件完成度を管理可能時間の8割で合格点の70%まで仕上げ、残りの2割の時間で重要度の高い案件のレベルをできる限り上げて高点数を狙う時間配分を行うことや、そのなかで再依頼を行えるネットワークづくりも怠れません。

また、いざというときに、この人ならと作業を手伝ってくれる第三者のために仕事の10%の時間を割き、汗をかくことを日常にするなどの取り組みを欠かせません。

自立して力をつけ、常に進歩し進化しつづけることで他者から求められる人になり、組織内外での連携を行いながら彼らに応えていくことが成果を挙げる近道です。』

組織と自分の成長

『ここで、「やりたいこと」が仕事のなかでできれば、仕事はより一層やりがいのあるものになります。「やらなければならないこと」のなかから「やりたいこと」が見つかることもあります。「やりたいこと」が「やらなければならないこと」のなかでできるようになれば、組織目標と自分の進む方向が一致し、組織の成果を自分や仲間との達成感とすることができます。

組織発展と自らの成長が一体化するのです。仕事と人生が重なる瞬間に身を置き続ける喜びは何ものにも代えられない感覚です。

依頼された仕事を効果的に捌く力を付けられるよう自立し一日一日を大切に生きることが社会人の仕事に対する基本姿勢であると考えています。』

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