この10年間で運営がうまくいく体制をつくってきた病院は環境を先読みし、変化に柔軟に対応できているため業績を伸ばし続けています。
医師の確保にちても紹介会社を使わず、一本釣りで、数年かけて準備をするといった活動を行っているし、営業体制を整備し、場合によれば営業担当者もおき、自院の特徴、売りをより広く喧伝しながら、また他の医療における異なる分野への進出を図り、知名度をさらにあげて集患している病院もあります。
結局は内外スタッフの力を借りて、病院マネジメントを徹底的に浸透させようと努力したトップマネジメントと、その発想すらないトップマネジメントの差がここにきて露呈しているということです。
病院マネジメントという領域が確立されていないとしても、社会科学として発展してきた経営学をしっかりと理解し、そのなかで病院の特性を活かしたマネジメントを行っている病院とそうではない病院では大きく差がついてしまうということの証左です。
診療報酬だけに対応していればよい時代ではない、ということについて、多くの病院が気付き始めています。組織をどのように活性化していくのか、という観点から、自院の組織マネジメントの課題を抽出し、次のステップに進んでいくことが必要です。
この傾向はいずれ病院全体に周知されるでしょう。利益を出さない病院は淘汰されます。利益は患者評価の証であり、適正利益にアプローチできない、また計画的にそれを得ていけない病院は、早晩医療のなかから消えていくことになるのです。
「利益は患者評価の証」という言葉を胸に、どのように医療の質をあげれば、もっと多くの患者に来院してもらえるのかについて職員全員で考える。その文化がある病院が成果を挙げられます。
利益を計画的に確保できる組織マネジメントを、医師であるトップマネジメントや組織を支える医師が習得し、組織や仕組みをつくり、その運営をしっかりと行うことが大切です。